個人か会社か
建設業を立ち上げる場合、個人としてはじめるか、会社を起こしてはじめるか、という選択肢があります。とりあえず個人事業として建設業をはじめるというケースも多いと思いますが、軌道に乗っていよいよ建設業許可を取得することになった際に、そのまま個人で許可を取得するか、会社組織としてから許可を取得するか、ということで改めて決断をすることになります。特別な理由がなければ会社として許可を取得されることをおすすめします。その理由を次のとおりです。
まず許可手数料、許可の有効期限などの点において、個人か会社かということで違いはありません。どちらの場合も新規手数料(役所に納める手数料)は9万円(知事)で同じですし、取得した許可の有効期限は5年です。更新の際の更新手数料も同じです(知事5万円)。
大きな違いは事業承継つまり代替わりのときにあらわれます。
個人事業として許可を取得すると代替わりをしたいというときにかなり面綱なことになります。令和2年10月までは個人で取得した許可は例え家族であっても引き継ぐことはできませんでした。一人親方が事業を引退して息子さんに引き継ぎたいと考えても、個人の建設業許可は当該個人に与えられたものであって息子さんには引き継ぐことはできなかったのです。
令和2年の改正で、この点を改めて息子さんは新規で取り直さなくてもよいことになりました。ただ通常の新規許可申請の場合よりも提出書類は多くなって複雑なうえに、事業を引き継ぐ相続人のほかの相続人のハンコが必要になりますので、場合によってはかなり面倒なことにかわりありません。
これに対して、会社は会社として法人格をもちますので、法人事業として許可を取りますと、社長が勇退して息子の専務が事業を継続するというような場合に建設業許可を取り直す必要はなく、役員の変更届のみで済みます(社長が経営業務管理責任者や専任技術者をしている場合が多いので、そういう場合には、それらの変更も必要になります)。
建設業許可を取得するときには比較的にご自身も若く、お子さまも幼ない場合などには、事業承継の場面を想定することは難しいのですが、いずれは事業承継のことも考えざるをえないわけですし、加えて会社の場合は有限責任というメリットもありますので、個人事業として建設業をされている方が建設業許可を取得する場合には、平成2年10月の改正後においてもやはり会社の形での建設業許可取得することをおすすめします。
株式会社か合同会社か
会社法上、会社には株式会社、合同会社、合名会社、合資会社の4種類があります。ほとんどの方は株式会社を選択されます。次に多いのが合同会社です。現在、ほぼこの二択になります。
- 株式会社設立
- 合同会社設立
両社は一長一短ありますが、詳しくはこちらの記事をごらんください。