建設生産物の特殊性!?
わたしたちは建設業許可手続きにおいて、ケイカンだのセンギだの、証拠資料だの経験年数だのとなんでこんなにうるさいことを言われてるんでしょうか?
最近では建設キャリアアップなどという新制度まで登場して、いくら役所がうるさいところだというのが常識だとしても今どきの社会において、建設業関連においてはちょっとうるさすぎるんじゃね!?、なんて思われる方もいらっしゃることでしょう。
行政書士はお役所の手先ではないですが、お役所に代わってちょっとご説明したいと思います。
建設業における規制の根本は発注者の保護にあり、建設業において特に発注者の保護をはかる必要があるのは建設業の生産物の特殊性にあると考えられています。
- 建設業においては、建設業者が完成する物が一品受注生産であるため発注者があらかじめ品質を確認できないこと
- 不適正な施工があったとしても完全に修復するのが困難であること
- 完成後には「瑕疵」(カシ、法律用語で「欠陥」の意味です)の有無を確認することが困難であること
- 長期間にわたって不特定多数の人に使用されることが多いこと
等の特殊性が建設業の生産物にはあります。
そのために国は建設契約の当事者=発注者を保護するために建設業法という特別な法律を作って発注者を保護しているわけです。
建設業許可要件はつまるところこの発注者の保護という観点から要請されるものです。
つまり、人に関する要件としての、経管や専技につきましては、経営経験のある人、工事の技術力のある人、建設業を営む者としてそれなりの人であるということが発注者保護のために必要である、ということを言っているということです。
また財産的要件につきましても、建設業を営む者はそれなりの財産がもっていなければならない、発注者に迷惑をかけないようにそれなりの財産をもっていなければならない、ということを言っているということです。
またさらに、建設業法におきましては、さまざまなローカルルールがあります。これも発注者保護という観点から各行政庁が建設業法を解釈した結果である、解釈というものには幅が出てきますので必然的に解釈者である各行政庁ごとにローカルルールが生まれてくる、ということになります。
このように建設業法の目的=発注者保護という観点にさかのぼって考えますと、許可要件についていろいろとめんどうなことを要求されるのもやむを得ないのかということになりますし、建設業界の発展のために建設キャリアアップ制度が必要である、ということならばわれわれとしてはしゅくしゅくとして法を順守して手続きをすすめるほかにない、ということになります。