個人事業として許可を取る場合の注意!
前に個人事業として建設業許可を取る場合も法人として許可を取る場合と要件や効果の点において異ならないということを述べました。ただ、個人事業主は必然的に少人数で事業を行うことになりますので次のことは許可を取る際には特に注意しておく必要があります。
それは個人事業として建設業許可を取る場合、ほとんどの場合には自分自身が専任技術者になって許可を取ります。専任技術者は遠方の現場に行くことができません。したがって、個人事業主に他に専任技術者になれる従業員がいないと遠隔地の仕事を法令上は請けらなくなるという問題が生じます。積極的な営業活動をかけるために許可を取ったのに、逆に許可があるために営業範囲が狭まるということにもなりかねないということです。
実は、この問題は法人の場合でも起こり得ることですが、親方ひとりでやられている個人事業の場合にはもろに問題となります。これまでの営業範囲が遠方であることが多かったという場合には特に注意してください。例えば、千葉県に営業所を置いているが、これまで仕事があるときはフットワーク軽く泊りがけで名古屋地方まで出かけていた、というような場合です。今後も現場となる地理的な範囲が遠方となることが多いという見込みである場合は抜本的な解決として営業所を移すあるいは従業員を雇い入れて専任技術者を用意する、ということを考える必要が生じます。その際事業の法人化等も検討することになります。
これは事実の問題として仕事がやりにくいかどうかというレベルでの問題だけではありません。法令上のコンプライアンス遵守をつよく求められる昨今の傾向から考えて、元請けや取引相手先もいずれ必ずこの問題に関心をもちます。十分に合理的な説明のできる状態を用意することが継続的な取引の維持のために絶対要件であると言えます。
なお、専任技術者は営業所に常駐することを原則とするというルールについては、当該営業所で締結した契約であること、現場がすぐに営業所に戻れる近い距離にあることという条件を満たせば例外が認められています(どの程度の距離であれば「近い」ということになるのかは各行政庁の判断にゆだねられています)。ご自分のケースが原則の適用となるのか、例外が認められるのか、ご心配な場合は当事務所にご相談ください。