錯誤の扱い(民法95条)
平成29年(2017年)改正により錯誤の効果が無効から取消しに変更されました(令和2年(2020年)4月1日施行)。
「無効」という概念は本来「いつでも、どこでも、だれでも」主張できるものとされていました(いわゆる「無効のあいことば」)。つまり、95条の錯誤も、いつでも=いつまででも、どこでも=裁判所以外でも、だれでも=本人だけでなくだれでも、主張できるものと考えるのが無効概念の本来の姿だったわけです。ところが、実は民法の中で95条の無効は表意者本人しか主張できない=ほかの者からは主張できないものと裁判所によって解釈されていました(95条の趣旨が表意者本人の保護であるということが理由です。錯誤に陥っていた本人が無効を主張していないときに相手方の方から無効主張して例えば契約等がなかったことにできるのはおかしいということです)。この点、95条の無効は無効とはいうものの取消しのような扱いがされていたわけです。そこで改正民法は95条の効果を無効から取消しに改めました。